Last update: 1999/03/11
ずっと放置していた45cm水槽(フタなし)。あまりに水草が繁茂し、メダカの泳ぐ場所もなくなってきたので草刈りと水換えをした。そのとき、水面で何かがしきりに跳ねている。ルーペで見るとどうも6本の脚があるし、なかなか面白い模様もある。ちょうどニコンのファーブル用のデジカメアダプタを作ったところなので、フィルムケースに虫を採集して撮影。いっしょに写ってるのはヒメウキクサと思われるやつ。画面の横幅が4mm弱位の大きさです。
写真をクリックすると別の写真をトリミングした大きなのが出ます(画質悪くてゴメンナサイ:18KB)。こんなに小さいのにいっちょまえの顔してておかしいです。
水面にいるときはすぐに跳ねてどこかへいってしまう。浮かんでいる葉とかガラス面にいるときは比較的落ち着いている。良く見ると黒っぽくて小さいものなど(写真の一番上の)、変わったのもいる。
飛び跳ねているからトビムシ?名前だけは聞いていたが、いままで「これだよ」といわれたことなし。「洞穴学ことはじめ」(吉井良三、岩波新書)に出てきたのを覚えている程度。図鑑を調べてみると、水面などで生活するものもいるようだし、雄と雌ではっきりちがってるものもあるようだし…。ただ、普通は体長2-3mm程度のものが多いとのこと。さてどうでしょう?>皆様
「洞穴学ことはじめ」とりだしてみたら、76年に読んでいる。20年以上前かー(トホホ)。また読んでみようかな。
いっしょに写ってるウキクサの正体が気になったので、ついでに少し調べてみました。日本帰化植物図鑑(長田武正1976、保育社刊)pp.403-404に大滝末男先生によるウキクサ科の検索表があります。どうもウキクサ属のヒメウキクサ Spirodela oligorhiza らしいです。根が数本(アオウキクサ属は1本、ミジンコウキクサ属はなし)、葉脈3から5本(というがはっきりせず)。少しあやしいですが、ま、一応。
ファーブル+CoolPix900だが、画質イマイチだなあ、という感じ。大きな問題はブレ。普通の顕微鏡と組み合わせる時と比べ、カメラ固定が不安定なうえ、本体が軽いので仕方ないか(残念ながらレリーズが使えず)。でもブレばかりでなく、光軸合わせとか、レンズ性能とかの問題もあるのかも。目で見てる分には文句ないのだが、なかなか難しい
1999/03/03
その後もこのトビムシは同じ水槽で生活してます。少し調べたところ、
「タマトビムシ亜目・マルトビムシ科・オドリコトビムシ亜科」
(Symphypleona Sminthuridae Sminthuridinae)の虫らしいです。その根拠は雄の触角。特殊な「把握器」に変形しています。次の写真をみてください。
右は左の拡大です。赤三角でしめした突起の部分が「把握器」らしい(青木淳一(編)日本産土壌動物検索図説にある検索図のfig.257参照。その他の突起は?)。「把握器」というのは、雄が雌を「把握」するのに使うもので、ソコミジンコなどにもあるようです。トビムシの場合、薄い膜に包まれた「精子球」を雌へ渡すそうです。雌の触角にはこういうものはありません。
このように、触角同士をからませているものが見られました。写真イマイチですが、右が左を捕まえているように見えます。ただ、大きさがあまり違わないなあ。文献では雌の方が大きいとあって、前には確かに大小いたのですけどね。今立源太良博士によると、
不思議なことに,この1対の雄の方は常に成熟した個体であるのに,体がより大きい雌は,例外なく,未成熟個体である.
というんですが、未成熟だから雄と同じ位なのか?
この写真は小さな容器に虫を取って、そのまま撮影(ベローズ+デジカメ、落射照明あり、レンズは4x、トリミングあり)。上の2枚はグリセリンゼリーで封じたプレパラートを普通の顕微鏡で撮影(レンズは10xと40x)。しかし、生とは大分変わっちゃうなあ。
多摩川の水溜まりでみつけたトビムシその2もぜひご覧ください。
撮影: (d) 1998/11/23, 1999/03/03