まみずくらげ
(Craspedacusta sowerbyi)

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Last update: 99/11/13
two female medusae

まみずくらげ?

くらげに特別関心のないフツーの人は、真水にクラゲがいるとは思わないでしょう。実際、どこにもいる、というものではありません。まれな種類と言うわけではないのですが、出現が散発的で、新聞などのローカルニュースに登場することもあります。

この「まみずくらげ」、別名「まだみずくらげ」をミカワヤ氏のご厚意で間近に見ることができました。ミカワヤさんは自宅のカエル水槽(コンゴツメガエル:Hymenochirus boettgeri)でこのクラゲとポリプを見つけ、長く維持しています。

上の写真はまみずくらげの雌2匹。ミカワヤさんがポリプから大人の状態に育てたものです。大きさは直径9mm程度、4つ白く光っている丸い物は彼女らの生殖巣です。ここまで育てるのはいろいろ試行錯誤されたようですが、自然界では普通直径2cm程度にはなるようです。


あかちゃん

baby medusa

これは赤ちゃんクラゲです。直径約1mm。ミカワヤさんちからの長旅(over 250km!)のせいで、この赤ちゃんは元気がありません。触手はなくなり(?)動きません。次の日にはこの小さいクラゲは瓶のなかで消えていました(カワイソー)。

ミカワヤさんはブラインシュリンプで育てたようですが、ほんとはワムシなどが赤ちゃんにはいいんじゃないか、とおっしゃってます(ブラインは塩抜きが必要です!)。



食事中のポリプ

ceramics with polyps

ご存じのように、クラゲの姿はくらげの生活史のうちの一部でしかありません。彼らはクラゲになる前、石などにくっついてポリプとして生活してるのです。左の写真は送っていただいた濾過用セラミック。これにまみずくらげポリプがくっついているのですが、私には肉眼で見えません。

「ポリプ」というとヒドラを思い出す方が多いと思うのですが、このポリプは全然それとは違います。サイズはもっとずっと小さいし、はっきりした触手もありません。

ところがどっこい、連中はまさにヒドラ同様の肉食動物なのです。刺胞によって獲物をとらえ、飲み込んでしまいます。次の3枚の写真はその過程を示しています。


まず、2つのポリプがくっついて群体になっているのにご注目。そして(1:左)ひとつのポリプがエサのブラインシュリンプを捕えます。1時間後、(2:中央)獲物はポリプにかなり飲み込まれています。12時間たった写真(3:右)では、二つのポリプが獲物を完全に共有しています。一つの群体のポリプは消化管がつながっているのがわかります(拡大図があります)。

自然界でポリプを採集するのは困難ですが、維持、繁殖させるのはそれほど困難ではないようです。


「フラスチュール」

movement of a frustule

ポリプはやがて無性的に「フラスチュール」(frustule)を作ります。これはゆっくりですが、なんと動きます。右のアニメーションGIFファイルの撮影間隔は1時間です。

フラスチュールがこのように動くことで、ある場所でポリプが広がるのに役立っているらしいです。この件についての研究をされてる方もあるようです。



あたらしいポリプ

new born polyp

そのうちフラスチュールは物の表面に定着してポリプになります。左の図は皿のガラス上で新しくポリプになったやつです。

長さ約0.3mm。左上の「口」のまわりがなんかざらついた感じに見えます。これが触手で、周辺から刺胞を発射すると言われています。

条件がいいと新しいポリプは成長し、芽を出します。普通ひとつのコロニーは数個のポリプをつけています。



そして、クラゲ…

ある日、ポリプはクラゲになる特別の芽をつけます。温度変化によって起こるとも言われていますが、詳細は分かってないようです。

そして、クラゲは卵と精子で有性生殖をし…。(これはまた別のおはなし…)


謝辞:

まみずくらげをいただいたミカワヤさん、ならびにjfish-ML(クラゲメイリングリスト)の各位のお力添えとくらげ愛に感謝いたします。皆様とお会いしてなければこのページは書かれておりませぬ。

また、オランダのWim van Egmondさん、Micscapeの編集イギリスのDave Walkerさんの励ましにも感謝いたします。お二人のおかげでこのページの英語版が存在しております(99/11/13公開)。


参考:

まみずくらげ:目次

撮影: 99/09/29,30,99/10/01,11,19