緑色のプラスチックのゴミに付着。画面タテの長さが3mm程度。
昨年夏に初めて遭遇した淡水コケムシですが、今年もいました。 多摩川下流、川のすぐそばの池で採集(2000/08/14)したサンプルに発見。 池のスミの水面に浮かんでいるゴミを集めてきて飼っていたらでてきました。昨年とは微妙に違う場所。
上の写真には個虫がふたつ見えます。左と右は見る角度が90度違っています。海産のコケムシと違って、触手の並びが円形ではないことがわかると思います(U字型)。なお、種名についてはいまのところ不明ですが、昨年のものとよく似ています。
休芽の発芽とか、別の種類とか、そういう話題もあるのですが、今回はこのコケムシが「ウンチ」してるとこを観察・撮影できたのでさっそくご報告します(嬉しくって仕方ない!)。
まずはともかく、左をご覧ください。確かにウンチしてるでしょう! ムービーで出そうかと思ったのですが、最後のところだけが速く、そこまでの変化はとてもゆっくりなので分解写真風 GIF アニメにしました。1コマ目から2コマ目までの間が10分くらい、そこから最後の4コマ目までが約1.5秒です。水面に浮かんだ状態です。
ここで注目してほしいのは、ウンチが完全に触手の外側から出ていることです。この特徴によって、コケムシ類は「外肛動物: Ectoprocta」と呼ばれています。
なお、口はどこにあるかというと、直接には観察できてませんが、並んだ触手の内側だといいます。触手にある繊毛で水流を起こして(これはよく見える)水中の微粒子を取り込むので、触手の外側では確かに都合が悪いでしょう。消化管はU字型になってるわけです。別個体の写真(透過光)もあります。
ちなみに「内肛動物: Entoprocta」っていうのもいます(曲形動物: Kamptozoa という名前の方が普及してるとのこと)。全体の形はコケムシに似て冠状に並んだ触手をもっていますが、肛門が触手の内側に開いている。なんか都合が悪い気もするんですが、大丈夫なのかな?私はまだ実物にお目にかかってません。
更に、ヒドラなど、刺胞動物のポリプも触手が口のまわりを取り巻いていて、似たような形です。しかし、この連中には肛門がありません(口から入れて消化した残りはまた口から出す)。また、触手には繊毛がなく、代わりに獲物を捕える刺胞があります。
もっともこういう区別がはっきり認識されたのは、19世紀の初め頃のようで、それまでは、この辺の連中は Zoophyte(動物的植物、植虫類)として一緒に扱われていたようです。
確かに似てますよね。実は同じ遺伝子で形態形成、って話だったら面白いなぁ。
モノをとってきて約二週間。エサになるかどうかなぁ、と思いながら、金魚水槽のフィルタのゴミを何回か投入してます。その割に結構なウンチ ^^;