Last update: 2000/05/05
顕微鏡で観察や写真撮影する場合の照明について。例によって専門機材でなくて、素人がDIYなどで工夫するお話。実際的というか、あまり一般的でない、かなり偏った内容です。
正式な原理とか方法(たとえば「ケーラー照明法」)については説明してません。ぜひ他に参考書などをごらん下さるようお願いします。
また、このページのリンクの多くは、イギリスの月刊オンライン顕微鏡趣味雑誌、Micscapeの記事です。大変面白いサイトです。
普通と逆に、材料の上から光を当て、反射してくる光で見る方法です。光が通らないものではこれに頼らざるを得ません。実際は上というより、真横から当てることが多かったりします。撮影用光源としてはストロボが便利(後述)。
また、光が通るものでも一味違う画ができます。私はこの照明が大好きで、ベローズを使った専用装置(≒顕微鏡)を作って使ってます。最近の写真は大体これで撮影。ただし、対物レンズは10倍がいいところかも。40倍はちょっとツライ。
普通の顕微鏡でも可能です。が、やりにくいのは確かで、照明ランプの固定などを工夫する必要があります。小さなハロゲンのスポットライトなどもいいですが、白色の発光ダイオードで使いやすい光源が作れそうです。そのうちにと思ってます。次のページはマグライトを使う例。
なお、落射照明と同時に透過光も使ったほうがいいこともあります。両者のバランスでいろんな画ができます。むずかしいですが、大変面白いところです。
落射照明と違って、下から光を当てますが、ちょっと似た感じになります(でも、またちょっと違う)。黒バックに白くモノが浮かぶ形です。
専用の付属装置もあるようですが、顕微鏡のコンデンサレンズの下のフィルターホルダに、丸く切り抜いた黒い紙を中心にはりつけたガラス板などをセットすればOKです。但し、コンデンサレンズの開口数が対物レンズのそれより大きくないとダメとか。そうでなくても、私の場合、40倍の対物レンズではうまくいってません(顕微鏡にコンデンサがない?うーん、それは苦しそう)。
コンデンサの絞りをかなり開く必要があるので、そのつもりで。また、黒丸の大きさの決め方など次のページを参考にしてください。
なお、暗視野とは少し違いますが、ミラーを少しずらしてやると、コントラストがついて見やすくなることがあります。
「ストロボ」というのは俗称、もしかしたら商標です。「スピードライト」とか「エレクトリック・フラッシュ」というのがいいようです。でもまぁ、ここではストロボということでひとつ。
これを顕微鏡写真に使うという話はあまり聞きませんが、やってみたら実にいいです。ただし、諸条件をカットアンドトライで決めざるをえません。ですから、結果がすぐに分からないフィルムカメラではかなりキツイと思います。
それから、透過光として使う場合は一工夫が必要です。特に光源内蔵の顕微鏡の場合、なかなか簡単には使えません。要するに最近のちゃんとした顕微鏡は無理ってことですね…落射照明としてならOKですが。
(注:もちろんがんばる人はいます。次に例を2つほど)。
ストロボはありふれた小型のもので十分、大きいものはかえって使いにくいと思います。AC電源が使えるとか、光量を調節できるといいですが、とりあえずお手元のもので試してみてください。買うのであれば、中古屋に安いのが結構出ています。明るさは距離とか、紙を貼るとかして調節できます。
カメラには外部接点が出てなくても問題ありません(ただし内蔵ストロボを強制発光できるもの。また、赤目軽減の「プリ発光」されると困る)。市販のスレーブユニット(内蔵ストロボの発光を受けて、外部ストロボを発光させる装置:下の写真左側)が便利です。
なお、ストロボはモノによって、あるいは光量調節のための紙などによって、微妙に光の質(色)が変わります。カメラのホワイトバランスをいろいろ試してみることをすすめます。
昔ながらのミラーで光をとりいれるタイプの顕微鏡でも、ストロボを透過光で使うには一工夫必要です。
要するに観察用の通常光源と撮影用のストロボの位置が実質的に同じになっていないと困るのです。違っていると、そのたびに光源を移動したり再調整が必要となり、撮影不可能に近くなります。そこで、専用のライトボックスを作りました。
といっても、前に作ったものの背面に穴をあけ、そこに小型ストロボをはめ込めるようにしただけです。付け外しも簡単。蛍光燈の後ろからストロボが光る形になってます。
一つのポイントは大きさで(幅18、高さ9、奥行き8.5cm程度)、あまり大きいと使いにくいでしょう。木製(主に3mm厚のホウ材)。光源は6Wのツイン蛍光燈(National: FPL6EX-N)。安定器などの部品は東急ハンズにて調達。ご予算合計2000-3000円。
なお、電気工作にはご注意ください。あくまでも自己責任でよろしく。
公開: 2000/05/05