多分、アズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus)
上の写真、ただのガマガエルですが、いたところが問題。といっても「筑波のガマ」って、そういうオチではありません。
場所は関東地方の某山。山道を下っているとき、左の谷側に立ち枯れの木。だいぶ前に枯れて途中で折れている様子なのですが、ふと見上げるとその先端あたりに何かいます。 よく見ると、おー、これは、ガマカエルではないですか!
高さは地上3mくらいでしょうか?新規投入したカメラとレンズの威力で撮影できたクローズアップが上の写真です。左の写真にマウスをのせるとアップにした部分が分かります。
ガマは普段は水から離れて活動してるということで、これまでも水のない山道で会ったこともあります。でも、ガマといえばやっぱり、地面をゴソゴソ、というイメージ。何も枯木の上に登らなくてもねぇ。キミ、何かイヤなことでもあったの?
しかし考えてみると、山の中のカエルも谷筋とか水溜りで生まれるのですから、あとはそこから山登りを続けないと、斜面の途中のあんな場所にいるはずもない訳です。だから、たまたま登っていったらそこは枯木で行き止まりだった、というだけのことか…。かなり驚いたのですが、こんなの、結構普通にあることですか?
ちなみにこの場所の標高は1500m程度、道沿いの水場はずーっと下(標高900m程度)までありません。あとは山頂の向こう側に行けば小さい水場がありますが。
さて、ここでガマガエルについて少々。
まず、日本では、ガマの油などで結構親しまれてる「カエル」ですが、英語だと "Frog" じゃなくて "Toad" 。ブキミだというのか、悪役だというのか、ほかのカエルとサベツされてます。魔法使いの一味・手先とか、そういう感じがつきまといます。ちょっと気の毒(もっとも、"Frog" の方もあんまりいいイメージじゃないみたいですが)。
それから「ガマガエル」は標準和名ではないですね。「ヒキガエル」。これは総称で、南方のものや移入種を別にすると、3つくらいに分けているようです。以下に参考資料からまとめておきます。
ニホンヒキガエル | Bufo japonicus japonicus | 近畿より西の本州・四国・九州 |
アズマヒキガエル | Bufo japonicus formosus | 近畿より東の本州・北海道函館付近 |
ナガレヒキガエル | Bufo torrenticola | 本州中部西半分・近畿地方 |
ただ、区別は簡単ではないようで、要するにヒキガエルでいいみたいですね。 なお、「ナガレ」は「流れ」で、渓流で生活してるという意味。これだけ「種」(しゅ:species)レベルの区別がされています。これは「アズマ」と「ナガレ」が同じ場所に棲んでいる例があるからだそうです。「一緒にいても混じらない」というところが「種」であることの一つのポイントになっているためです(いわゆる「生物学的種概念」ってやつ)。
このへんのお話は、なんか最近は、もういいやぁ、って感じなので割愛します(皆さんがんばってくださいね)。
話を戻しまして、資料に、ナガレヒキガエルは(夏の夜)「渓流中の石の上,山道沿いの樹上にいる」とありました。ですが、今回の枯木の上のガマは多分違うと思います。 分布もそうですし、右上の写真(円内)のように、("ナガレ"でははっきりしないという)鼓膜もそれらしく見えますので。また、アズマヒキガエルの高地型というのがいるそうですが、これはよくわかりません。目で見たとき、色合いがちょっ違うかな、とも思いましたが、気のせいという感じも大。
参考資料:
ということで、久々の更新は、ヘンなところにカエルがいましたぁ! というお話でした。