吸管虫 (Suctoria)

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Last update: 2005/07/10
suctoria

トゲトゲの生えているのが吸管虫。上と右は獲物らしい。


そのへんに落ちていた枯葉を水につけて、窓際においておいたものを顕微鏡でのぞいていて発見。水面近くのガラス面が緑になったあたりからとった資料にいました(右図)。

petri dish

最初はてっきり太陽虫の類だと思っていました。一本だけちょっと変わった触手が生えているとは思いましたが…

ところが、この春からご一緒しているアリンコカメラマンこと生物教員K氏に「太陽虫がいますよ」と見てもらったところ、「これは繊毛虫の仲間の吸管虫ってやつじゃないの?」と言われてびっくり。

ポイントは周りに突き出ている「触手」の先端で、太陽虫ではすんなりと細くなっているが、吸管虫ではちょっと丸まっているとのこと。そう言われると確かにそうです。トップの写真でもわかります。

うーん、こいつは知らなかった!でも繊毛虫っていうけど、繊毛なんてどこにあるのよ?というのでとりあえず原生生物情報サーバの吸管虫のページを見ると、出てました。

生活環のある時期では出芽によって繊毛運動をして移動するが、適当な物に付着すると柄を形成して繊毛を吸収し、替わりに触手を発達させる。(ハウスマン「原生動物学入門」p.89)

そしてその前に「吸管虫:すいくだむし」の名前の由来だろうことも書いてありました。つまり、こいつらは、触手で獲物を捕らえて、その中の管を通して獲物の中身を吸い取るということをやっているらしい。

太陽虫も他の虫を捕らえて食べる肉食のやつですが、管で吸う、というのはちょっとすごい。そういえば、写真でも大きいのと小さい緑のと、2つくっついているようです。

ということでなんとか食事現場が見れないか、と粘っていたところ、獲物が触手に接触するシーンを撮影できました!実は、残念ながら結局は獲物に逃げられているのですが、あきらかに触手でくっつけている様子は分かります。どうぞご覧下さい (capture.wmv 120KB 6sec)。


その後 Webを探すと、これまたすごい動画があったのでご紹介しておきます。捕まえるところではなくて、獲物を吸い取っているシーンで、海水産のもののようです。英語ですけどこれは必見(この動画は下の方にあります)。Page 2 では増殖の様子もよくわかります。

ただし、記事を読んでみると、この虫は何だかいやに速いです。食べるのとか増えるのとか。虫を吸い取るのに5分と書いてある。それから、私の今回のやつは柄が一応あるけどいやに細いし、どこかにくっついてる感じがありません。

この辺は、一口に吸管虫といってもいろいろあるようなので、それらしい画像を探してみましたが、ズバリこれ、というは見当たりませんでした。Sphaerophrya っていう属がちょっと似てる気もしますが、柄がないというので違うみたい。

Suctoria というのは吸管虫亜綱ということで、えらく大きな分類段階です。出芽の仕方で目(もく:order)に分けるらしいですが、これすら分からないので、ちょっと残念。

どろおいみじんこさんのページもとても分かりやすいですので、ご参考までにリンクしておきます。


撮影: 2005/06/23, 07/07 公開: 2005/07/13