青い色の秘密
(珪藻: Pleurosigma sp.)

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Last update: 2003/05/18
Pleurosigma sp.

珪藻は、小さくて見づらいのが多いし、電子顕微鏡レベルでないと同定が難しかったりするし…正直なところ今まで敬遠していました。しかし、今回は…とにかくこの色!

いきなり「秘密」のタネ明かしになりますが、この青い色は色素の色ではなく、「構造色: structural color」とか「干渉色: interference color」とよばれるもののひとつです。

rainbow colors on CD

よく CDの裏(記録面)が虹色に光って見えることがあるでしょ? あれは、記録面に小さな穴(ピット)が規則正しく並んでいて、これが「回折格子: grating」として働いて色が見える、といわれています。

そして珪藻でも、その殻の上に、まさにこの「ピット」が規則正しく並んでいるのです。「条線」と言って、その並び方が種類の特徴となっています。

光学顕微鏡の能力を試すのにちょうど都合のよい程度の細かさなので、この種類が見えたら優秀、逆に、この種類の条線が見えないのはちょっとマズイ、というような感じで利用されても来たといいます。この「珪藻を使った顕微鏡の能力テスト」に興味がある方は、次のページをどうぞ。


それで、問題の珪藻のこの色に戻りますが、ポイントは2つあります。

まず、通常の照明、つまり標本の下から光をあてて透過光で観察する「明視野照明」ではこの色は出てきません。多分、光源との角度の問題だと思うのですが、標本の下からの光をカットしてわきからの光で観察する「暗視野照明」じゃないとダメです。

それから、並び方(ピットの間隔)がある程度密でないとダメな模様。

enlarged

この写真の珪藻は Pleurosigma という属のもので、かなり細かい条線があります。種によるようですが、10マイクロメートルに20本前後です。これを使って顕微鏡の検査や調整をしたので、「メガネケイソウ」の和名があるとのこと。

左の写真を良く見ると、線(点のつながり)が斜めに交差しているように見えます。これがこの属の特徴で、よく似た「エスガタケイソウ」 (Gyrosigma) では、直交するそうです。

また、これは本来は海産の属だが、海岸に近い場所や汽水のところによく出るとのこと。これは、以前「ハゼ発見」というページにしたこともある汽水の川で取りました。

なお、ここに出した写真の個体全部が同じものかの確認はしてません。すみません。

微妙な条件で、いろいろ変化します。右の図は、長軸方向にわずかに回転しているのか、中央を境にして色が違って見えています。

pleurosigma2 pleurosigma3

構造色については、これ以上の説明をすると怪しくなるので、下記リンク等をご参照下さい(と逃げておきます)。

他の生物ではかなり複雑なものがあるようですね。次に2つほどあげておきます。


ついでにCD(-Rじゃないやつ)の記録面と、なぜか手元にあった某社デジカメ用CCDの撮影もやってみました。両方とも顕微鏡用10倍の対物レンズを使用(ベローズ利用の自作装置)、ほぼ同倍率で撮影し、2048 x 1536 の画像の一部を切り出しました。いわゆるピクセル等倍になってます。

CDは最内側の一部を示しています。なんだ不規則じゃないの、と思われるかもしれませんが、回転方向(横)に線の様に並んでるのが分かるでしょ?白い点がピットで、この長さがいろいろあるので、こんな感じになるようです。

CCDではマイクロレンズが並んで光っています。画素数は不明ですが、ピッチはCDよりかなり荒いですね。このピッチでも、肉眼で虹色は見えます。

pits on CD micro lenses on CCD

下記のページなどを見ると、CDではピットの幅が0.5μm、スキマが1.1μmのようですが、写真に撮るとピットの方が幅広く見えます。この原因は不明。パイオニアのページには、ちゃんと図のような電顕写真が出ています。あと、CD-Rだとちょっとまた面白いようですね。


撮影: 2003/05/14, 18 公開: 2003/05/18