味な顔(Macrostomum gigas ?)

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Last update: 2003/04/06
Macrostomum gigas

今回の写真は長崎の山本清彦さんの撮影によるものです。実物は体長約2mm。あんまり面白い「表情」なので、ご好意でページにさせていただきました。

実はこの虫は、茨城の黒田さんから私にお問い合わせがあり、川勝博士のアドバイスで黒田さんから山本さんに生きた虫を送っていただきました。その後、山本さんが染色体分析をされて、博士が Macrostomum gigas Okugawa, 1930(ヒラヒメウズムシ)と仮に同定されたという経緯があります(2003/04/04 追記を参照のこと)。

詳しいことは別ファイルにありますので、興味がある方はご覧下さい。
Yamamoto, Sasaki and Kawakatsu, 2003. Chromosomes of a Macrostomid Species from Central Japan: Macrostomum gigas Okugawa, 1930 ?
http://planarian.net/kswp/39/mgigas.pdf (英文、PDFファイル、約1.4MB)

Place your mouth pointer on the picture (JavaScript required). Or click here to enlarge the picture.


by Okugawa 1930

生の写真ではあまりよく分からないので、ちょっと仕掛けをしたのですが、トップの写真にマウスカーソルをのせると白く線が出ます。あの位置にある細長い針のようなもの、Stylet という用語を使うこともあるのですが、要はペニスで、これがこのグループの特徴とのこと(うまくいかないときは、拡大図をご覧ください)。

Okugawa 1930 による図も、まるでマンガのようで面白いので、右にあげておきます。

眼の下の鼻みたいなのが口と咽頭、真ん中にある、上の写真では濃い茶色(図では波線)のところが腸、その両脇に卵巣と精巣があります。

自由生活をしてるウズムシではあるが、全身に腸が広がっているプラナリアとは違うグループです。



扁形動物門・渦虫綱 Turbellaria この下に13ほどのグループ(目:もく Order) があって、例えば、いわゆるプラナリアやコウガイビルは「ウズムシ目(三岐腸類) Tricladida」に属します。今回の Macrostomum というのは、「ヒメウズムシ目(多食類) Macrostomida」。

こういった「マイナーな」ウズムシについては次のページがよくまとまっていて、参考になります。Macrostomum には、結構変わった生活をするものもいるようです (Earthlife Web)。

日本からは6種ほど報告されていますが、なにぶんにもこのあたりは研究が遅れており、今後の研究が必要とのことです。ヨーロッパなどでも同じ事情のようです。次のページでは、白黒ですが7種の写真が見られます。Stylet がよく分かります。


2003/04/04 追記

このグループの専門家である Dr. Gamo (マドリッドの Alcala大学)によると、多分この学名(M. gigas) は Macrostomum tuba のシノニム(同物異名)であろう、ということです。ただ、ヨーロッパと日本のものが本当に同じか、直接調べた人もいないので決定的なことは分かりません。ですので、ここでは "M. gigas ?"と、疑問符をつけた形で表記しておきます。


撮影: 2002/12(山本清彦)公開: 2003/03/29