ソライロラッパムシ
(Stentor coeruleus

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Last update: 2000/01/12
relaxed

ご覧の通りのラッパムシです。同一個体ですが、結構形が変わります。刺激をうけると縮んで右のようになります。こうなるとかなり泳ぎますが、動きは穏やかで、撮影は比較的ラクでした。透過光(蛍光燈)+落射光(ストロボ)。

左の写真は「口」のまわりの繊毛がかなり見えます。真ん中のは核らしいのが並んでる様子と体の表面の繊毛が見えます(各写真をクリック!)



midium sized contracted

Stentor: with speedlight

右のものも同じラッパムシです。「え、全然色が違うじゃないの」とお思いでしょうが、蛍光燈なしでストロボだけ当てたらこんな色に写っちゃいました。

白く丸いのは収縮胞?繊毛もボケて、なんか妙にキレイなので、拡大したのもあげておきます (23KB)。

どうもこの緑色は「ステントリン」という色素らしいです。実際は写真より青っぽく、非常に鮮やかな、ちょっと人工着色料のような味の色です。これがストロボの光で蛍光みたいのを発してるのではなかろうか?と想像してます。詳細ご存知のかたいらっしゃいましたらぜひ教えてください→(2000/01/11)正体判明しました!

他に、赤や無色、あるいは共生藻でほんとに緑とか、いろいろな種類があるそうです。



1-2mm 程度と大きいから見つけるのは簡単、というけど、ホントにキタナイところにはいなくて、郊外の池とか、それなりの所にいかないとダメな気がする。そうでもないのかな?

せっかくなのでもう一枚おまけ (12KB)。


2000/01/11 正体判明!

この種類ですが、ソライロラッパムシ(Stentor coeruleus)であると判明しました。高知医科大の熊沢先生、ありがとうございました。以下、お手紙を引用させていただきます。

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 ラッパムシには着色した種がたくさんあります.細胞表面に色素顆粒を持ってい るからです.対物レンズの倍率を上げて強拡大にすれば,細胞表面の顆粒を見るこ とができます.ソライロラッパムシ Stentor coeruleus の色素顆粒の成分をステン トリンといいます.ご指摘のように透過光で緑色,反射光で赤紫色に見えます.こ のほかピンクや茶色の色素顆粒をもつ種があります.

 さらに色素顆粒をもたない種の中で,細胞内部に共生クロレラを持つミドリラッ パムシ S. polymorphus という種があります.これは反射光でも透過光でも「もえ ぎ色」に見えますが,暗所で長く飼うと白くなります.

 さらに色素顆粒と共生クロレラの両方を持つ種もいます.

 写真のラッパムシは透過光で緑色,反射光で赤紫色の色素顆粒をもつ種類です .じゅず状の大核が見えていますから,S. coeruleus かもしくは S. introversusのいずれかです.

 次にこの2種の違いですが,細胞口が渦巻き状に巻き込む入り口に隣接して大き な袋(buccal pouch という)を持っているのが S. coeruleus,持っていないのが S. introversus です.写真ではよく確認できないのですが,buccal pouch を持っ ているように見えます.

というわけで,信頼度95パーセント程度でソライロラッパムシ S. coeruleus と同 定します.

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ということで、さらに実物を見ていただき(東京→高知の長旅もなんのその、無事に到着したそうです)、ズバリそのものだと判明しました。

ちなみに、'Stentor'というのは、'叙事詩 Iliad(Homer = Homerus)の中にでてくる、50人程の声を合わせた位大きな声を持つ布告人' 、だそうです。メディア関係業界でこの名の会社があるようですね。 それから、'coeruleus' (シールレウス)というのは空の青色(シールレアンブルー)を意味する語から名付けられたとのことですが、ちょっと無理がある感じがしないでもありません(語源については布山先生@都立大にもご教示いただきました。ありがとうございました!)。


撮影: 1999/12/29