毛?
えー、またまたアメーバです。今度のは、お尻に毛が生えてるアメーバ。
上の写真でアメーバの左上(緑色にボケてる藻類のそば)に見えるでしょう?なんだかもやもやと毛というかトゲというか。でも、これが尻?…アメーバに尻があるのか?…それがですね、あるんです、このアメーバには。
というのは、動くときに、毛がある部分が一番後ろ側になるのです。足が伸びるのは、必ず毛の生えていない側からなのです。ですから、体はぐにゃぐにゃと変形して決まった形もないけれど、ここは「お尻」!前後の区別はあるのです。
また、この「毛」自体が妙です。普通に毛といったら繊毛とか鞭毛とか、動くのが普通。こんなのあるのか?と調べていたら、 "villous uroidal bulb" っていうのがありました。これは、「柔毛でおおわれたウロイドのふくらみ」っていう意味だと思いますが、「ウロイド: uroid 」というのは、
1) アメーバの尾部全体。
2) アメーバの尾部に形成された多数の塊状、瘤状、あるいは糸状に突出した構造。固形物への付着、老廃物の排出、食作用などに関係して起こる。静止時には消失する。
(出典:原生生物情報サーバ・用語解説 http://protist.i.hosei.ac.jp/protistology/Glossary/U/uroid.html)
だそうです。ようするに、尾部、つまり「尻」がふくらんで、毛でフサフサしてるやつがいるよ、というわけです。おぉ、これはぴったり! で、これは、サッカメーバ属 Saccamoeba の特徴らしい。というわけで、このアメーバは Saccamoeba sp. (サッカメーバ属の一種)、ということでいいんじゃないかと思います。ただ、この属では「透明冠: hyaline cap 」が(目立た)ない、ということで、これはちょっと不明。ですので疑問符つきにしました(透明冠というのは、仮足が伸びていくとき、先端にできる透明な部分です)。
次のページには、種のレベルの区別も書いてあります。この中では S. limax というのが一番近いかな、と思いますが、まぁ分かりませんですね。ちなみに limax とはラテン語でナメクジ・カタツムリのことらしいです。
最後に動画をご覧ください。かなり派手な動きですが、早送りではありません。毛が一番うしろ側にあるのが分かると思います。仮足が出るところを見ると、透明冠らしいのも…。どうなんでしょうね。
でもかなりわかりにくいですね、この映像。 youtube に上げてみたら画質劣化がひどく、ホントに分からなくなっちゃったので wmv にしてみました。それでもイマイチ…。ファイルは3MBくらいあります。ひっかかったり時間がかかるかもしれません。もっとよい方法があればいいんですけど(研究中)。