眼は8つ(ササグモ: Oxyopes sertatus

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Last update: 2008/06/29
Oxyopes sertatus (male)

どこが眼?よく見てね!


eyes of a cicada

昆虫の脚は6本。それに対して、クモは8本。これはご存知の方が多いかと思います。では、眼の数はどうでしょう?

昆虫の場合は、トンボやチョウの顔を思い出せば分かりますよね。大きいのが2つ。これは複眼というやつで、良く見ると、単眼という小さいのがこのほかにいくつかついています。右の図はセミの顔ですが、両目(複眼)の間に赤く塗った3つのポチポチが単眼です。 一般に複眼2つ(一対)+単眼3つ以上、ということらしい。

それで、クモはどうだったっけ?…正直、記憶になかった私なのですが、そもそも、どこに眼があるのか分かりますか?上の写真のクモなど、カニの目玉みたいなのが2つ、黒いのがあるのは違うのか、と思ってしまいます。

ところが、これは触肢というものの先端がふくれた構造で、眼とは関係ありません(ふくれるのはオスだけで生殖に使う。メスの触肢の先端はふくれない。なお、触「肢」とありますが、歩くための8本の脚とは別ものです)。

eyes of Oxyopes

それじゃあどこなのか、というと、上のクモだと胴体の前半「頭胸部」の真ん中あたり、ちょっと出っ張った感じのところに、いくつか小さな目(単眼)があります。変なところにあるなぁ、とお思いでしょうが、上下に高さがある胴体を前から見てる感じで撮影しているのでこう見えています。実際には、例えて言うと、バスとかトラックの運転席の上の屋根の前あたり、という感じになると思います。

左の拡大図を見ると、大小あわせて8個あるのが分かります。クモ類は一般に単眼だけが8個(4対)、複眼はないそうです。うーん、しかし実にどうも、何か変な感じですね。昆虫と比べても、より「マシーン」というか、異質なものを感じます。

なお、クモの中には、単眼の数が、6個・4個・2個・0個のものもいるそうです。また、眼の配置がグループごとに違うので、クモ観察のポイントのひとつでもあるようです。実際、今回のクモでも、この眼域の様子から「ササグモ」の類と分かりました。


on the back of a leaf

ところでクモといえば「クモの巣」ですが、このササグモ、巣を作りません。これも面白いというか、意外に思われる方も多いと思います。でも「徘徊性」のクモということで、結構いろいろいるようです。有名なタランチュラとかもそうですね。

写真のように、葉っぱ(ナツメ)の裏に潜んでいました。ちょうど花が咲いていて、アリが吸蜜に来ていたので狙っていたのか? 脚の毛がひどく目立つのも面白いです。近くに脱皮した殻のようなのがありました。

exuviae

今回の記事、主に下記文献を参考にしていますが、もし妙な事を書いていたらお知らせ頂ければ幸いです。



撮影: 2008/06/28 公開: 2008/06/29