左の写真は、オオカナダモの葉をブチッと切って、暗視野で見たものです。細胞のなかに小さな光る粒が動いているのに気がつきました。
この写真だとちょっとわかりにくいのですが、矢印で示した細胞の中に白い粒がみえるでしょ?これがチラチラしてたわけです(なお、直線状に出ている光は、付着してるケイソウが光ってます)
オオカナダモといえば、「原形質流動」の観察というのをよくやります。「原形質」って今は半分死語ですが、"protoplasm" の訳語で、
細胞のうち細胞膜以外の,核と細胞質とからなる部分.元来は,細胞の生きている部分を構成している物質として定義され,…(後略)岩波生物学辞典4版より引用
とあるように、要するに細胞の中身ですね。この中に動きがある、というのが「原形質流動」。 植物でも動物でも、細胞はこのようにダイナミックなものだ、生きているんだ! とか先生は言うわけですね(今年ももう新学期…)。
それで、このカナダモの葉っぱを見てみなさい、という実習をやります。 葉の中に葉緑体のまるい粒が沢山あって、これが流れるように動いてます。これは、細胞骨格という構造があって、それに沿って動いている。この運動は、アクチン−ミオシン相互作用によるもの、つまり筋肉運動なんかと共通のしくみなのであります… とか先生はお話をするわけです(!)。
さて、この観察は何回となくやってたのですが、今回初めてこの白い粒に気がつきました。何を見てたんだろ、とも思いますが、普通は暗視野なんかで見ないので…と言い訳しておきます。
それじゃぁというので、100倍の油浸の対物レンズを使ってみたら、こんな感じでした。
ピントがボケている緑のまるい粒は葉緑体ですが、それよりはるかに小さい、長細い粒々が見えました。そして面白いのは、動きが違うことです。葉緑体の動きはまさに流れるような動きですが、これは、ちょこまかと速く、振動という感じ。
上の写真をクリックすると動画が出ます。時間を縮めたりしてません。リアルタイムです。(320x240 12sec. DSCN5044.wmv: 160KB)
さて、この粒々、何なのでしょうね?
はじめはミトコンドリア?っていう想像もしてたのですが、かなり古い葉っぱだし、やっぱりバクテリア…? 上の写真でも、葉緑体と違う位置にあるようだし、そもそも動きが違いすぎるし。
下のリンクの、タマネギの原形質流動を微分干渉顕微鏡で見た動画などを見ると、自信がなくなってきて、だんだんバクテリアに傾きつつあります。そのうちまた見てみようと思ってますけど、ご意見いただければありがたいです。
タマネギの原形質流動(高倍率)In: 森田保久の高校生物関係の部屋
http://www.asahi-net.or.jp/~dz5y-mrt/ta-anime.htm