タイトルにあるように、花弁を顕微鏡で見た様子です(表側の皮を薄くむいて水で封じて検鏡)。こうして見るとかなり派手ですね。
タイルの様に並んだ表皮細胞の多くが赤やピンクになっています。これは、細胞内の液胞という袋の中に赤い色素(アントシアン)が入っているため、と言われています。ほぼ細胞全体に色が付いているので、細胞のほとんどが液胞、ということになります。
これは教科書に出ている模式図のイメージとはだいぶ違ってくるのですが、「成熟した植物の細胞内の大部分は液胞」というのが実態らしいです。また、液胞の形も単純な袋ではなく、かなり入り組んだ複雑なもの、ということが分かってきているそうです。
参考:液胞膜を立体的に見る
http://new.nacos.com/jspp/tonoplast.htm
ペラルゴニウムというのは、広い意味のゼラニウムのひとつ。いろんな品種があるようですが、観察したのは右のようなやつ。よく植えてあるので、多分どこかでご覧になってると思います。学名は良く分からないので sp. ということにしておきます。
なお、上の写真は、花弁の上の黒っぽい模様の部分をみたところで、模様がないピンクの場所はちょっと感じが違います。これもまた、派手かつ不思議な絵…。
細胞壁がギザギザになってる、ように見えますが、液胞の膜がギザギザなのかな、と思っています…違うかもしれませんが。なお、トップの写真でも、このギザギザが見られます。
右の写真だと、ピンクの中に更に紫のものがあったりしますが…
それから、もうひとつ面白いのが、細胞表面のでっぱりです。最初は良く分からなかったのですが、黒っぽい模様の部分の表皮細胞には、写真のように盛り上がりがあります。これは、模様がないところの細胞にはないようです。
花弁にある模様は、昆虫のための目印(蜜標)、ということが言われますが、このでっぱりにも何か意味があるんでしょうかね?蜜標については下記ページが面白いです。
参考:ツツジのサインは本当だった(In: 自然観察の部屋)
http://homepage2.nifty.com/tnt-lab/s/nat/tsutsuji/tsutsuji.htm
園芸植物の名前はややこしいので、以下メモしておきます。
園芸上、広い意味での「ゼラニウム」というのは、テンジクアオイ属に属するグループの総称。ゼラニウム群・ペラルゴニウム群・ツタバゼラニウム群・ニオイゼラニウム群、の4つのグループが含まれる。 そして、学名は4群ともすべて Pelargonium (ペラルゴニウム)。古くはフウロソウ属 (Geranium) に分類されていたため、これを英語読みした「ゼラニウム」が通称となった。
情報源:中山昌明 ゼラニウム.植物の世界 30: 3-166(朝日新聞社)
”ゼラニウム””ペラルゴニウム”という名前について (In : JUNGLE GARDEN)
http://www.infoseek.livedoor.com/~yinz/Pela/Pel_name.html
上記ページも参考になります(このサイトすごいですねぇ)。ついでですが、ここにある 「ペラルゴニウムのタネのひみつ」、カラスムギなんかもそうじゃなかったかな、という記憶があります(乾湿運動で土にもぐるという話です)。でもどこで読んだのか忘れている…自分で確かめろって事ですね…(宿題またひとつ)。