ブキミ系(多毛類)

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Last update: 2002/06/05
Polychaeta

神奈川県某所にて採集。大きさは、長さがざっと1cmというところ。


先日(2002/05/11)、お仕事(実習というやつです)で海に行ったとき、海藻の切れ端など、ちょっとだけ自分用のお土産をとってきました。それを翌日つらつら眺めているうちに発見。知らない間に持ってきてしまったシロモノです。根元のあたりにでも着いていて、苦しくなって出てきたのか?

「ブキミ系」としたのは、右上側の、もにょもにょした部分、この一本一本が動くのです!まさにギリシア神話に出てくる「メデューサ: medusa」の髪の毛。

ちなみに、"medusa" は、怪獣ゴルゴン(Gorgon)三姉妹の末の妹だそうです。この3人、「醜悪な顔で髪は蛇、歯は猪のようで、大きな黄金の翼を持つ。目は見たものを石にする力があった。」とのこと。この辺は、いろんな資料があるようですが、以上は、下記のサイトからの引用です。
ファンタジー辞書 http://www.asahi-net.or.jp/~QI3M-OONK/tosyokan/fantasy/aafanindex.htm

もひとつちなみに (^^) 、"medusa"って「クラゲ」の意味もあります。触手からの連想でしょうけど、どっちが先かな?

tentacles? extention

この「髪の毛」を拡大したのが左側の図です。先端のちょっと手前が茶色くなってます。ヘビのような動きに加え、右図のような感じで、一部の「髪の毛」は伸びたり縮んだりします。これが実にブキミ。この動きで移動することもあるような。ついでに胴体の方もクネクネするし。

こういうやつは、やはりムービー。ということで、mpeg4のファイルを作りました。ブキミ大好きという方限定、自己責任でヨロシク (^^)polychaeta.asf: 160x120 pixels 6sec ca. 292KB) なお、閲覧にはWindows Media Player が必要。IEじゃないと落ちるかも。うまくいかない時は、ダウンロードして保存してから見てください(すいません)。


fixed

さて、この動物は何者?多分、多毛類(ゴカイの仲間)というのは当たってると思います。トップの写真では剛毛のようなものも見えるし、右の写真のように、死ぬと体節構造がよくわかりますので。でも、その先は…?

きっとありふれたモノなんでしょうけど、現在のところ不明。 北隆館の図鑑なども、一応は見たのですが、どうもピンとくるのがありません。中山書店の教科書(動物系統分類学6 p.88)に、一応似てる図 (Amaeana trilobata) があるのですが、「感触手は伸縮しない」というので、違うみたいだし。第一、これはかなり小型だけど、成体なんだろうか?

それから、この「髪の毛」(感触手?)って何なんでしょう?伸びたり縮んだり、ウネウネしたり、名前の通り一種のセンサなのか?いずれにせよ、それぞれ独立した生き物のような、この動きは驚愕モノです。エネルギーも相当使ってそう。

同じゴカイでも、ウズマキゴカイなんかだと、多分同じところにある鰓冠という部分がとても美しくて、ブキミなんて事、全然ないんだけど。いろいろあるもんです。

そもそも、環形動物の体の作りとか、もう少し基本的なことを理解しないと…うむむ。



2002/06/05 追記

先日、このページの蟲らしいのに出会った方からメールをいただきました(けいいちさん、感謝!)「そうそうそう、そういう感じ!」という文章なので、一部を引用します。

僕も、一昨年の今頃だったか、友人と葉山の方で拾ってきた海草をバケツに入れて、エアーレーションしておいたところ、観察していたらこいつが海草から離れてバケツの壁にくっついたのです。 糸のような透明な脚のようなものがたくさんあり、それを自分の身体の周りに放射状に拡げ、脚のようなものの先は何かイカの二本だけある脚の先の吸盤のよう。 それには小さな点がそれぞれあり、バケツの壁にへばりつくとオレンジ色っぽい体をグルグルと回していたのです。 これには、もう本当にゾッとさせられました。 海草には大小二匹これがついていて、出てきたのをあまりに怖いのでピペットで吸い出して捨ててしまいました。

やはりこうなると正体が気になるので、学芸員1号さんにお尋ねしてしてみたところ、多毛類で間違いなし、ミズヒキゴカイの類でしょう、とのことでした(ミズヒキゴカイそのものかどうかは不明)。この手の連中は、東京湾岸などに普通にいて、水際に近い浅い海底で無数の触手をうごめかせている、そうです。うーん、今度機会があったら見に行こう…かな…?


撮影: 2002/05/12,14 公開: 2002/05/18