琉球大学西表実験所・公開講座のご紹介

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Last update: 2002/09/17

本講座はすでに終了しております



Cycas revoluta

ソテツ:Cycas revoluta の受精時の雌花。(このページの写真は高相教授提供です)


琉球大学の西表実験所で、今年の夏に公開講座があります。 テーマは「亜熱帯植物の生殖について」ということで、ちょっと難しげですが、本サイト (Gen-yu's Files) を面白いと思ってくださる方なら、きっと楽しめると思います。

講座の実際ですが、半日は室内実習として、現象の説明と透過・走査電子顕微鏡、光学顕微鏡を用いた観察、ということで、実際に顕微鏡の操作などもする予定だそうです。もちろん、干潟や海辺の野外観察もあるとのことです。

なかなか自分の手で実際にやってみることができないものばかりですので、 興味がおありの方、あるいはちょうど西表に行く予定なんだけどついでに、って方も、ぜひどうぞ。 …ということで、以下、ご紹介。


・マングローブ植物の受粉 (2002年7月26日)

Bruguiera gymnorrhiza

「マングローブ: mangrove」とは、熱帯・亜熱帯の海岸など潮間帯泥地に生育する森で、日本では、鹿児島南部から西表島などを含む南西諸島に見られます。

ヒルギ類の「胎生種子」とか、海水中で生きるための特別なしくみを持つ植物が多いのをご存知の方も多いでしょう。今回は、特にその受粉をテーマとした講座です。

写真は、オヒルギ:Bruguiera gymnorrhiza の花。


Enhalus acoroides

・ウミショウブの受粉 (2002年8月9日)

マングローブと並んで、西表島で有名なのが「ウミショウブ」。浅い海底に生える海で、端午の節句にお風呂にいれるショウブに似ている、ということで名前がついたようです。

これ、海中で生活していますが、藻類ではなく、ちゃんと花も咲いて実もなる被子植物です(ちなみに、カナダモなどと同じトチカガミ科)。しかし、海中生活をしていることもあって、「水面媒」などと言われる特殊な方法で受粉をします。このへんのお話。

右は、ウミショウブ:Enhalus acoroides の雄花。これが大潮の時に開花して、海面に浮かびあがってくるとか…。


・ソテツの受粉(精子の観察) (2002年8月23日)

male gametophyte of Cycas revoluta

今更かもしれませんが、植物でもコケやシダでは普通に「精子」を作ります。種子植物でも、一部の裸子植物では精子を作ることが知られています(平瀬作五郎が世界で始めてイチョウで確認した、ということをご存知の方も多いでしょう)。

しかし、この裸子植物の精子を自分の目で実際に見たことがある、という方は、大変少ないと思います(私もありません)。この講座では、これを体験できる可能性大。大変貴重な機会だと思います。

この写真では、ソテツの雄性配偶体が3つ見えてます。この中にそれぞれ精子が入ってるワケですね(うーむ…)。

ついでですが、イチョウの精子については、最近すごいビデオが出ています。版元のページがあるので、ご紹介しておきます。 種子の中の海 イチョウの精子と植物の生殖進化(東京シネマ新社 完成 2000年1月 カラービデオ 35分)


いずれの講座も、それぞれ受講料5,800円。申込書を下記URLからダウンロードして印刷し、必要事項記入の上、「郵便局で公開講座受講料(金額)を普通為替に換えて、上記の琉球大学公開講座受講申込書を添え当該申込先へ送付する」そうです。

問い合わせ及び申込先:
09808-5-6560 〒907-1541 沖縄県八重山郡竹富町字上原870番地
琉球大学熱帯生物圏研究センター西表実験所
琉球大学公開講座:
http://www.u-ryukyu.ac.jp/open/h14/
申込書 (pdf):
http://www.u-ryukyu.ac.jp/open/h14/h14mousi.pdf

参考までに、西表島までのアクセスについてのリンクも張っておきます。


なお、講師はこの分野を長年研究されてきた 高相徳志郎 熱帯生物圏研究センター教授です。 実は私、高相教授(って書くのも何だかエヘヘな感じですが ^^;)には、今を去るその昔々、いろいろお世話になりました。そういうご縁でこのページを書いてます。

ホントになつかしー。とっても行きたいので、なんとか参加するべく画策中。


公開: 2002/06/09