以前、川面にうかぶゴミを拾って来た中に見られた、お饅頭のような形のナゾの物体。直径は0.3mm位。浮いていて、これは上から見たところ。
正体不明でいろいろ聞き回ったりしたのですが、 どうも土壌性(地上性)の有殻アメーバGeopyxella 属の殻らしいです。 ただし、側面観が不明なのと、表面にカルシウム質の特殊構造がみられることから、 問題は残るとのこと(鈴木實先生)でした。
何で土壌性のやつが水面のゴミからとれるんだ、と一瞬思いましたが、考えてみれば草の根みたいなのも流れてくるんだから、そりゃ十分あるでしょうね。生きてたものが水中で死んだのか、殻だけ流れてきたのか?
後で切ってみたら、断面は左図のようになってました。卵の殻みたいに石灰質でもろいのか、と思ってたらそんなことはなくて、カミソリで結構キレイに切れます。縦に切ったところで、上の写真の真ん中の穴が上になってるはず(と思うが、イマイチ自信なくなってる)。 なかは空っぽ。
それから、下は表面のアップ。外側(左)と内側(右)から。内側のほうがつるっとしてる感じがしますが、照明の加減だけでもなさそう。
この3枚は、グリセリンゼリーでマウントして保存してた標本を改めて撮影しました。
ちなみに、ゴミ拾いの理由は、淡水コケムシの休芽探しでしたが、結構へんなものがいろいろ出て楽しめます。
とってきたゴミはしばらく「飼って」おくのがコツ(というかなんというか)。 最初は気づかなかったのがいろいろ出てきます。 これ、大昔の文献読んでたら、同じこと言ってるアマチュアの人がいて、「おおっ」と喜んじゃいました。
... I am in the habit of keeping the gatherings made during excursions as long as circumstances will permit, and this practice I venture to recommend members generally to follow, as it frequently happens that many interesting objects make their appearance, after a time, that would be lost if the gatherings were thrown away soon after they were made...Parsons, F. A. 1885, Notes on a New Hydroid Polyp. J. Quekett Microsc. Club 2: 125-130.
ただし私の経験では、飼っておくのは数週間が花で、それをすぎるとジリ貧で面白くなくなっちゃうこと多いです。なんか「エサ」を投入してやるといいのかも。
なお、上の引用は「マミズクラゲのポリプを見つけた時もそうだった」というものです。そしてこの Quekett Microscopical Club は1865年設立、現在も「クラブ」として活動中。さすがはイギリス、すごいなぁ。
それから「水表面の直上あるいは直下に生活する生物の総称」として、ニューストン(neuston)という言葉があるそうです。例えば、ウキクサとかアメンボとか。水面は栄養状態が中の方と違うらしいし、微小な連中でもいろいろありそうな気がします。