観察96時間目。まだふ化前だけど、目がカワイイ
貝(多分サカマキガイ Physa acuta)の卵塊を発見。といっても、これまでにもしばしば見てはいたのですが、あまり注意してませんでした。今回、発生の様子をちょっとだけ観察しましたのでご報告。
発見時の卵は左のような感じでした。20個くらいまとまって、全体が寒天質の包みの中に入っていますが、この写真だと寒天質がイマイチ分かり難いですね。色は違うけど、なんかイクラの卵みたいな感じに見えちゃう…
この寒天質の包みの中に卵を産み出すというのが、「有肺類」というグループのうちで淡水産のものの特徴のようです。卵の数は種類や場合によって異なるようです。
卵ひとつひとつの中に、キャッチライトのようなものが見えますが、ライトが映り込んでいるのではなくて、これが細胞本体というか胚というか、やがて貝になるところです。
この段階でどういう状態にあるのか(細胞の数がどの位か、など)不明ですが、やがてこの部分が大きくなってきて、回転を始めたので分かりました。
次に時間を追ってその様子を示します。露出不足やサイズ不揃いなど、ホントは撮り直したいとこですが、レタッチでなんとか救済してます。また、同一の胚を撮影してるわけでもありません。
10/08 9:05 (0h) | 10/10 1:10 (28h) | 10/10 23:10 (50h) |
10/11 23:17 (74h) | 10/12 20:46 (96h) | 10/13 21:43 (120h) |
8日の発見時点で、すでに卵割はすすんでたのだろうと思います。典型的なモザイク卵でらせん型の卵割をするそうです。面白いことに、卵割の螺旋の巻きかたが殻の巻きかたに依存するとか。この辺も見れたら面白そう。今度見つけたら…
ただ、なんか単為発生でもやってるんじゃないか?って気がしちゃう。妄想だろうか ^^?
回転に気がついたのは、2回目の観察(27時間目)あたりからで、50時間目でも回転してます。「トロコフォアおよびベリジャーに相当する時期」のようです。トロコフォア(trochophore)とかベリジャー(veliger)というのは幼生の名前で、普通の貝では自由生活しています。しかし「有肺類」のうち、淡水産および陸産のものでは、繊毛で回転しながら卵膜(egg membrane)の内側で過ごすそうです。残念ながら今回繊毛は分からず。
この後だんだんおとなしくなって、動き方も変わってきます。そして4回目の観察(74時間目)あたりではもう貝の形がはっきりしてます。ちなみにこの74時間目、生物学辞典の「ヴェリジャー」の図とかなり似てます。これ以後はそんなに大きな変化はみられません。
若干の個体差はあるようですが、15日にはふ化して外で動いている個体を観察してます。右の写真は、16日のものですが、水面にさかさに張り付いて泳いで(?)いる赤ちゃんです。
これもまた光が足りなくてちょっと見にくいですが、触角もわかるし、形は大人と同じですね。
最後にオトナのサカマキガイ。これは殻の長さが6-7mm。ゴミは連中の糞です。大食漢で、こうなるとあんまりカワイくない ^^;
参考: 動物系統分類学 5(下)軟体動物(II) p.401 (中山書店)
不思議な気もするけど、なぜか今まで軟体動物のページはこのサイトになかったのでした。サカマキガイ自身についてはまた機会があれば書きたいと思ってます。