顔が違う
(プラナリア: Dugesia spp.)

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Last update: 2001/01/27

Dugesia tigrina? としていたのは D. austroasiatica (トウナンアジアウズムシ)の模様。詳しくは、「水槽のプラナリア」情報をご覧ください。(2001/01/27)


D. autstroasiatica ? D. japonica

(左)Dugesia austroasiatica ? (右)D. japonica


先日、在来プラナリア(ナミウズムシ: Dugesia japonica)を入手!姫路工大の野木先生のご厚意で、お使いの材料を送っていただいたのです。岐阜原産の"GI"系っていうクローン。ありがとうございました!

写真で見てる時は、そんなに違うかな?と思ってましたが、直接見ると、かなり印象が違うものです。左がうちの水槽のプラナリア(正体不明・30度でも大丈夫、アメリカナミウズムシ: Dugesia tigrina ?)。右が今回いただいた在来プラナリア。いずれも生きて動いてるとこを激写!撮影大変でした。

白目の大きさとか、「エラ」の張りかた、やはり個体変異じゃないなぁ、って感じがします。あくまでも「感じ」ですけど。また、ウチのは斑点が目立つ感じあり。川勝論文に、「一見して違うと思った」という記述がありましたが、これで納得がいきました(でも、実物見ないとそう思われないかもだなぁ…)

お話によると、送っていただいたムシは「25度をこえるとバタバタ死んでいくと思ってください」とのことで、そういう事も全然違うみたいです。


ただ、本格的な同定はちょっとできないかも。 というのは、切片を作って生殖器の構造を見る必要があるそうなのですが、 もしかするとウチのムシは有性生殖やってないかも、なのです。

こういう時は同定はどうするんでしょうね?キーになる形態が検討できない。あとは染色体?遺伝子?結局は同定不能?

2000/08/03 追記
ムリヤリ有性化する方法もあるようです。プラナリアの生殖を参考までにみてください。

そうそう、染色体でも面白い話。 プラナリアには2倍/3倍体の集団があるっていうんです。 "mixoploid"って言葉が出てましたが、同一個体中に2倍体と3倍体の両方の細胞があるらしい。モザイクの話は聞いたことあるけど、それがフツーって、そんなぁ、ややこし!

この辺の話は、次の論文などを見てください。上の論文は、まだ遺伝子じゃなくてタンパクの電気泳動でやってます。移入生物の問題でもあるし、なかなか面白い話だと思うんだけど、その後進んでいるんでしょうかね?

多摩川の下流あたりにトラップかけたら採れないかな?採れたらマズイですけど、きっと採れるでしょうね。


intestin of a flatworm

最後に野木先生撮影の美しい画像をご紹介します(トリミング・リサイズ済み)。腸が染色されています。

pharynx tricladida

上の写真まんなかあたり、白くぬけている部分が咽頭(Pharynx)です。これは食事の時など、右図のように飛び出るようです(これも野木先生提供)。まあ、口が体の中央にあるわけ(ちなみに肛門は?というと、口と共用。これは、クラゲやイソギンチャクなんかと同じですね)。

そしてここから前方に1本、後方に2本の腸が別れて伸びています(赤い線、枝別れは省略)。それで「三岐腸類: Tricladida」というわけなのでした。



撮影: 2000/07/09