砂粒でできた平べったい巣。長さ12mm弱
先日、マミズクラゲが出た茨城県の池の水とゴミを送っていただきました。本命のマミズクラゲのポリプは残念ながら今のところ見つかってませんが、上図のようなちょっと面白いものを見つけました。
砂粒をキレイにつなぎ合わせた巣で、なかなか見事なものです。真ん中の部分だけが筒状になっています。言い換えると筒のまわりに翼状の張り出しがついた構造になっている訳です。
まわりの部分は大きめの砂粒、筒の部分は小さめの砂粒、と材料も微妙に使い分けられています。下左の図の赤い線で示したところが入り口。矢印の方向から見ると、下右の写真のようになります。
住人は見あたらないので、「何が作ったのか知らないけど、大したもんだなぁ」などと思ってそのままにしていました。ところが最近、「日本の水道生物」をぱらぱらめくっていて、この巣とムシの写真に遭遇(p.157)。ホソバトビケラ: Molanna moesta Banks とのことです。調べてみると結構有名みたいで、あちこちの資料に載っていました。急遽写真を撮り直してページを書いた次第です。
しかしトビケラの類といっても、恥ずかしながら私、成虫は「これがトビケラ」と意識して見たことがありません。ちょっと気をつければいくらでもいそうなので、気づいてないだけ? でも「多くは夜間に活動する」というのでそのせいかもしれません。成虫の羽に細かい毛があるので毛翅目といわれ、一見蛾に似ているそうです(資料1)。
幼虫はいわゆる「川虫」の一種。これは知っていましたが、カワゲラとは別の仲間。(紛らわし!)形は小さいイモムシの頭に近い方に、しっかりした足が3対くっついているようなものを想像すれば、当たらずといえども遠からず???「ザザムシの甘露煮」という珍味をご存じの方なら、あれの中身のほとんどはトビケラとヘビトンボの幼虫だそうです(資料2)。
そして面白いのが、この幼虫が(水中で)糸を吐いて巣や網をつくることです。 この巣を大きく分けると、
となります。一部の種類は固着させるタイプのものを発電水路に作り、その抵抗で発電出力が落ちるので、発電害虫などと言われるそうです。 また、特に持ち運び可能なポータブルの巣を作るものでは、巣の材料や形が様々なので、巣を見ただけで種の同定ができることも多いそうです。今回の巣もそのひとつではないかと思います(資料2)。
しかし、この巣が砂粒を糸でつないで作られているとはちょっと驚き。確かにピンセットなどでつまんでも弾力があり、しっかりしています。
ホソバトビケラ科 Molannidae は日本に2属、
2001/12/23 追記
上のリンク、一時行方不明でしたが、移動していました。