クモの巣 (カバキコマチグモ?)

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Last update: 2000/08/12
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冬、枯れススキに妙なものを発見(東京都八王子市)。


どこがクモの巣?とお思いの方、この妙な、葉っぱが巻かれたものが「巣」です。 もっともクモの図鑑では「住居」とか「網」とかは書いてありますが、「巣」という言葉はあまり使わないようです。 クモといえば、いわゆるクモの巣=網、という連想をしてしまいます。しかしその網も様々、更に網を作らないクモもいる訳です(などエラソーに書いているが、実は良く知らないので、この位で退却 ^^;)。

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さて、この巣の主ですが、本を見るといちばんそれらしいのが、

カバキコマチグモ(樺黄小町蜘蛛)Chiracanthium japonicum

ただ、葉を巻くクモは他にもいるようなので、確実ではありません(2000/08/12 追記 とはいえ、みるかし姫さんもほぼ間違いないだろうとご意見です)。新海・高野 1984. フィールド図鑑 クモ(東海大学出版会)より引用します(p. 160)。

夜間草間を徘徊して獲物を捕える。産卵期は7〜8月で、ススキの葉を曲げて住居をつくりその中に産卵する。子グモはふ化後、第2回脱皮がすむと親グモを食べる習性がある。日本では最も毒性の強いクモで咬まれると半日から1日ほど痛む。

子グモがふ化後に親グモを食べるというのは、アッテンボローの番組でも登場してた気がします。しかしすごい話だ。「生きてるって凄まじい」って感じでちょっとためいき。雄のカマキリが交尾のとき雌に食べられちゃうなんてのもそうですけどね。

手袋の写真を見ると、巣に穴が空いてますが、写真とるとき壊れたのかもしれません。当然ですがこの時期、中は空っぽ。この種は北海道から九州まで分布、出現期は7〜9月、ということです。上にも引用しましたが、日本では最も毒が強いとのことなので、ご注意。見つけてもそっとしておいた方が無難ですね。

↑…と思うんですけど、昔の子供はこの巣を開いて遊んだんだそうです。この際クモにご興味もたれた方は、みるかし姫さんの「世界に広がるクモニスト・インタナショナルの網」をどうぞ。すごーいサイトです。


もうひとつ資料(本)をご紹介。

佐々木洋 1998. フィールド・サインでみつける 街なか生きもの探検ガイド (NTT出版)
季節はずれの写真をひっぱり出してこのクモの巣のページを書いたのも、実は先日買ったこの本がきっかけ。巣・卵・抜け殻・足跡・排泄物ほかの「痕跡」60件が写真・イラスト付きで紹介されています。非常に面白い。私のサイトにあるウスタビガのまゆも出てます。ちなみに私も佐々木ですが、これは偶然、著者とは関係なし。


余談。いくら冬枯れでも写真の色があまりに寒々しい…。懐かしのRicho DC-2L による撮影。

撮影: 1997/01/04 公開: 2000/08/10