水槽の黒髭藻(紅藻)

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Last update: 1999/04/23


red algae in a tank

いわゆる「黒髭藻」とか「黒房藻」とか言われているやつです。ガラス面や器具、水草など所かまわず固着し、ホビイストから大変嫌われています。この写真は勤め先の水槽のひとつ(さすがに自宅のはこんなにしてないぞ^^;)。

この藻、見た目は青黒い(グレーのものもある)のですが、どうも紅藻のようです。紅藻は6000種位あって、大部分は海産だけど淡水にも200種くらいあるんだとか。

red algae1 red algae2

紅藻の証拠、という訳ではありませんが、左は生、右はガムクロラールで封じてしばらく置いたものです。青、緑系の色素がこわれて、赤い色素が目立つようになったと思われます。

細胞が一列に並んでいますが、分岐が目立ちます。また、下に示したように、胞子嚢とおもわれるものも沢山みられます。

spore1 spore2 spore3
ふつうの 毛? 先端が開く?

(1999/04/23 注)写真については、吉田先生のコメントを参照してください

このあたりの様子は、

あたりにそっくりで、日本淡水藻図鑑の検索表(p.158)によれば、オオジュイネラ(Audouinella)属に当たると思われます。 ただ、どうもこの属の扱いにはいろいろあるようです。というのは、ここにも

「オオジュイネラ属はLemaneaまたはBatrachospermumの幼体と酷似している」
Batrachospermum=カワモヅク)

とあるのですが、他の種類の発育段階にすぎないとして、属として認めない考えもあるようなのです。ちなみに、「シャントランシア」(Chantransia)というのはAudouinellaの別名(旧名?)のようで、「藻類多様性の生物学」にはAudouinellaおよびChantransiaは出ていません(認めているかいないかは不明)。

このへんの詳しいお話をご存知の方、教えて下さると嬉しいです。


参考サイト:http://www.cco.caltech.edu/~aquaria/Krib/Plants/Algae/red-algae.html

アクアリウム関係の場所です。「紅藻」だなんて、ここを見るまで考えもしませんでした。
Audouinellaという名前もここに出てました。防除などの情報がまとまっています。


1999/02/27

Audouinella属について、その後の情報。

うーん、いまいち分からない…
Audouinellaすべてが消失したんじゃあないけど、淡水のやつ(Audouinella chalybeaなど)はカワモヅクの幼体である」っていうこと?


1999/04/23

北海道大学の吉田忠生先生からコメントいただき、上に書いたような疑問点が解決しました。興味ある方もいらっしゃると思いますので、以下に要点を示します。

(一般論として)

Audouinella 属について)

(このページの「黒髭藻」について)

(胞子嚢の写真について)

(付:「Chantransia 期」という名称について)

文中にある「新日本海藻誌」というのは、吉田先生のご著書で、ものすごい本です。そんな大先生が私ごときの質問にていねいに答えていただき、なんだか恐れ多いというか、本当にありがとうございました。

「藻類についての知識普及をよろしくお願いします」なんてお言葉。もっといろいろやらなくちゃね(!)。


撮影: (s) 1998/06/06, (d) 1999/02/08, 14