Last update: 1999/01/09
もとの写真はこんな感じ。まず、いくらかトリミングとトーンの補正をしたあとで、彩度を最小に落し(Photo Magic)、つぎにDibasで処理。編集メニューにある「減色2色→局所適応法」を使うと前の写真ができます。
この「減色2色→局所適応法」というのは、普通にとった写真が、一見版画みたいになるので面白く、結構気に入っています。他のソフトでもできるのだと思いますが、知りません。
さて、本題ですが、上のタイトルにも書いたように、この二重らせんの正体は、道管のらせん肥厚というやつです。(小倉謙、改版植物解剖および形態学、養賢堂、S.37 p.67 第61図 などを見てください。)
「道管」というのはまあ、「水を通す管」ですね。もちろん細長い細胞がいくつもつながって出来ている訳ですが、この細胞は発生の途中で、まず細胞壁の内側にいろいろな模様をもつ二次細胞壁を作ります。そのあとで細胞の中身がなくなり、死んだ細胞となります。この模様のひとつが「らせん状」である訳です(なお、仮道管にも同じような模様があるそうです)。
そして、このらせん模様の部分は特に厚くなっているため、最後まで残り、一部が引き伸ばされてこんなふうになるのでしょう。実際、上の写真は何かというと、プランクトンの類を探しているうちに出会った、池の底にあった植物遺体の一部と思われます。
ただ、なぜ「二重」なのかはよくわかりません。一本のらせんが2本に分かれてるようにも見えますし、隣のらせんとからんだだけかもしれません。単純な「一重」らせんのほうがずっと沢山見られました。
道管形成についての最近の知見は、
福田裕穂:道管の形成.遺伝, 50(12), pp.46-50 (1996)
が参考になりました。1)誘導因子、2)形づくり(模様の形成)、3)細胞死 について説明されています。細胞が管状になるには各種植物ホルモンが、模様の形成には微小管やアクチン繊維などが関与してるらしいです。
こんなのもありました。横紋筋ではありません(!)。
撮影: (vp) 1999/01/08, (s) 1998/12/24