Veronica sp.

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Last update: 2003/03/26


「カワジシャ」「オオカワジシャ」という表記を「カワシャ」「オオカワシャ」と変えました。川に生える「チシャ」という意味ですので… ちなみにチシャとはレタス(キク科)のこと。


1997年秋、埼玉県内某キャンプ場で見つけた、帰化種とおぼしきVeronica sp.(花と全体の図はクリックすると大きくなります)。

花

残念ながら果実の形はよく写ってない

カワヂシャ(Veronica undulata)の仲間なのは問題ないのですが、候補は3つ。

全体 habitat
全体の形 水に浮かんでるのもあった

上の二つはヨーロッパには普通にあるらしく、Reader's Digest の WILD FLOWERS OF BRITAIN などにも同じページに出てます。V. agagalis-aquatica が "Blue water-speedwell"、V. beccabunga が "Brooklime"というらしい。

この両者の目立つ違いは葉で、beccabunga は葉柄がはっきりして葉身が丸く、anagalis-aquatica は葉柄がはっきりせず葉身は細長くて基部が茎を抱く。果実の形も若干違うようです。新日本植物誌(大井)によれば、日本には anagalis-aquatica が「まれに帰化」といいます(beccabunga についての記述はなし)。

一方、V. americana はアメリカ大陸原産で、花が1/4inch位で小さいといいます。同じく、「北海道の湿地に自生する」。

一応、葉っぱは長いし、花は大きいし、V. anagalis-aquatica かな、という印象がしています。 しかし、葉っぱの変異とか、果実の形とか、その他不確実な要素が多いので、むしろV. americanaの可能性もあるよ、という形で保留になっています。花が遅いのも気になります。このへんの奴は雑種形成の話があり、日本でも論文がある、と言われてそのままになっているのですが、資料ご存知のかた教えてくださると嬉しいです。


ところで、この前新しく出た「1998年版 埼玉県植物誌」を入手して、この辺を見てみたところ、 V. anagalis-aquatica は12個所、V. beccabunga は1個所の区画から記録されていました(みんな荒川沿いのようです americana の記録はありません)。意外に数あって驚きました。すぐ隣の区画からも記録されてるし、ますます、anagalis-aquatica みたいだなー。

ちなみに、「神奈川県植物誌1988」では anagalis-aquatica americana が1個所ずつ、beccabunga は記録ありません。

たしかに微妙なグループらしいので、再検討は必要でしょうが、いずれにせよ帰化種のカワヂシャについての記録が神奈川と埼玉でかなり違っているわけで、興味深いところです。あるいは時間的に10年ずれているのが効いているのか?


この秋(1998)同じ所へ行ってみたところ、昨年に比べてずっと水が多く、全く見当たりませんでした。川沿いの環境というのは変わり易いんだな、と実感しました。来年は?


1999/04/15

niftyserve ffield5番で情報をいただきました。以下に引用します。

カワヂシャの件、HPのはオオカワヂシャのように思えます。関西ではオオカワヂシャが普通で、カワヂシャは少なくなっています。気がついたときにはほとんどが帰化種に変わっていました。

いのでさん、ありがとうございました(発言2425:99/04/13)。


1999/05/16

これもオオカワヂシャか?

ffield5番たちいぬのふぐり こと和田さんのページに沼津市狩野川河口にあった怪しいカワヂシャの写真が出ています。ここに紹介した植物によく似ていますが、これは花が白。前に調べたとき見たアメリカの図鑑などには、近縁のV. catenataというやつの花が white, pink, or pale blue であるとありますが、まあ色だけではね(Wild Flowers of the United States Vol.5 p.477)。正体はいかに?


2000/01/13 東京でも発見

Veronica habitat in Tokyo

つい先日(1/10)、都内某所でオオカワヂシャと思われるものをみつけました。写真左のようなところで、あんまりキレイなところじゃありません。クレソンなんかと一緒に生えてます。

花まで咲いてました。前に見たのは秋なんだけど。暖かい日でしたが、他にはオオイヌノフグリとかホトケノザが一部開花してる位。クリックで植物の写真が出ます(37KB)。

V. anagalis-aquatica V. beccabunga のリンネの標本(前者は基準標本)が Linnean herbarium (S-LINN) で見られます。ここには全部で4000程度の標本があり、現在、2121シートがオンライン化されて公開中だそうです(1998/12/05: 883, 1999/04/15: 1381, 2003/03/26: 3475シート。確実に増えてますね)。


撮影: (fuji RDP II) 1997/11/16, (d) 2000/01/10