Last update: 1998/12/18
水たまりに落ちていたスライドグラスを検鏡中に見つけた、奇妙な分岐。糸状体制のランソウや鉄細菌などにみられる偽分岐(false ramification)というやつじゃないかと思う。生物学辞典から「分岐」の項を引用します。
細胞が連鎖して生じる糸状体制には,成長する細胞が分裂してできた細胞でつづいいる真正分枝(藍藻類Stigonema),いったん切れる偽分枝(false ramification,藍藻類Scytonema)があり,前者は組織体制への道である.(後略)
しかし、「いったん切れる」というのがよくわからないなあ。
と思ってたのですが、…
実はこういうやつを最初見つけました。偶然にしては、あまりあちこちに見られるので、「接合」してるんじゃないか、とか、いろいろ想像してました。
ボケてますが、右側にも同じものが見えてます。
それで、この写真です。右側(小さなほう)はちょっとボケてますが、先端でつながっています。要するにループを作っている。それがいったん切れて左のような状態になり、さらに一番上の写真のようにもう一度つながる、という事なのかな?
なお、この写真はガムクロラールで封じて数日たったもので、上の2枚は生の材料です。いくらか透明になってきて、細胞の並びもわかります。
ランソウは原核生物、つまり核膜に包まれた核がない生物です。細菌の仲間であることをはっきりするため、「シアノバクテリア」とか「藍色細菌」と言う方が通りがよくなってるみたいです。もちろん、それでいいんですが、感覚的にはやはり「藻類」ですね。いわゆるバクテリアに比べるとものすごく大きいし(写真はすべて対物40倍で撮影)。こんな妙なことをするし。
でも面白いなあ。水槽に出るとイヤだけど。
撮影: (vp) 1998/12/5, 11